屋上防水工事に欠かせない「脱気筒」とは?役割や必要性を解説!
2025.09.26 (Fri) 更新
こんにちは。 東京都墨田区・江東区・台東区・江戸川区密着で外壁塗装、屋根塗装、雨漏り補修、防水工事リフォームを行う外壁塗装&屋根・雨漏り専門店ベストリニューアルです。
マンションやビルなどの陸屋根には、定期的な防水工事の実施が必要です。しかし、屋上防水工事に必要な「脱気筒(だっきとう)」について、詳しいことがわからず、何の意味があるのだろう?と疑問に感じている方も多いのではないでしょうか?
そこで、今回は屋上防水工事に欠かせない脱気筒の役割や必要性についてわかりやすく解説していきます。工事の疑問についてもまとめているため、ぜひ参考にしてくださいね。
目次
脱気筒(だっきとう)とは?
脱気筒について、屋上で見かけたことはあっても何に必要なものなのかわからないと思っている方も多いのではないでしょうか。まずは脱気筒がどのようなものか、仕組みや役割、設置基準などを詳しく解説します。
仕組みや構造
脱気筒とは、マンションやビルなどの陸屋根で見かける筒状のものです。色は、銀色が一般的ですが、素材などによって異なる場合もあります。
脱気筒には、屋上に施されている防水加工の防水層下に溜まる水分を外に逃す仕組みがあります。なお、内部の構造は逆止弁構造になっていたりキャップが付いていたりするものが多く、この構造によって、防水層と下地の間に気体が溜まるのを防ぎます。
役割
脱気筒には、防水層の下に溜まる水分や水蒸気を逃す役割があります。しかし、なぜそのような役割が必要なのかというと、防水層の下に溜まった水分は、太陽光などの熱によって温められると蒸発しようとします。
その結果、防水層とそのさらに下にあるコンクリート層との間に隙間や膨らみやシワができてしまうのです。防水層とコンクリート層に隙間ができれば、見た目が悪くなるだけでなく、膨らみのある箇所の内部では、気密性が損なわれてしまうため、耐久性にも影響を及ぼすでしょう。
また、膨らむ力がより多く加われば、膨らむだけでなく、亀裂が入る恐れがあります。亀裂の入った隙間から、雨水などの水分が防水層下に入り込めば、さらに大きなトラブルに発展する可能性もあります。
設置基準
脱気筒の設置に細かな規定はありませんが、効果的に水分を逃すためには、50〜80㎡に1ヶ所設置するように検討してみるとよいでしょう。また、水蒸気は熱されると上に上がる仕組みがあるため、勾配のある陸屋根では、高い方に設置するのがおすすめです。
設置場所については、マンションの構造などによっても変わるため、依頼する業者に相談して、適切な位置や数を提案してもらうようにしてください。
脱気筒の種類とそれぞれの特徴
脱気筒には、いくつかの種類があります。使用されている主な素材や、それぞれの特徴を理解しておくと、取り付け依頼をする際に役立つため、覚えておきましょう。
ステンレス製
脱気筒に広く使用されている素材でもあるステンレスは、錆びにくいため耐久性に優れているのが特徴です。長期間使用できることから、マンションの屋根だけでなく、工場や大型のビル、公共施設などでも利用されています。
ただし、他の素材の脱気筒と比較すると高価な場合が多く、取り付け費用を抑えたい場合には不向きな場合もあるでしょう。しかし、耐久性が高いため、取り換えやメンテナンスのコストを抑えられるため、トータルコストを抑えたい場合にはおすすめです。
アルミ合金製
アルミ合金製は軽量で施工性が良いのが特徴です。耐候性や耐腐食性が備わっており、価格帯も中程度であるため、ステンレス製のものより安価に取り付け可能です。そのため、一般住宅から中規模建物までさまざまな建物の屋根に使用されています。
なお、アルミ合金製の脱気筒表面には、アルマイト処理(酸化被膜処理)が施されたものもあり、腐食しにくいよう工夫されています。
塩化ビニール製
軽量で価格も比較的安価な塩化ビニール製の脱気筒は、短期間の防水対策工事に使用したり簡易的な施工を求められたりする際に用いられています。
耐久性や耐候性が金属製に劣るため、長期に渡って設置する場合や天候などの変化や影響を受けやすい環境にある建物には不向きです。
脱気筒が使用される屋上防水工事
脱気筒の設置は、多くの場合屋上の防水工事と同じタイミングで実施します。以下では、脱気筒の設置を伴う可能性のある防水工事の詳細を解説します。また、脱気筒を必要としない防水工事も簡単に紹介するため、参考にしてください。
ウレタン防水
ウレタン防水とは、液状のウレタン樹脂を塗布して防水層をつくる工法です。ウレタン防水のなかにもいくつか工法があり、なかでも「通気緩衝工法」という工法では、下地に通気シートを敷いてウレタンを塗布します。この場合、通気シートの特徴を活かすために、脱気筒を設置して、蒸気を排出します。
シート防水
シート防水は、塩化ビニール製などのシートを貼り付けて、防水層を形成します。液体を塗布するよりも均一な厚さの防水層をつくることができ、乾燥時間も少ないため、工期が短く済むのも特徴です。
シート防水で用いられる「機械的固定工法」や「絶縁工法」は、下地と防水層の間に通気層をつくる構造のため、一般的に脱気筒が設置されます。
アスファルト防水
アスファルト防水は、アスファルトシートを貼り合わせて防水層を形成します。複数の層からなる防水層のため、ほかの防水層と比較して高い防水効果が期待できるだけでなく、重量にも耐えられる特徴があるため、多くの車輌が行き来する駐車場などにも用いられています。
アスファルト防水の設置工事にもいくつかの工法がありますが、「絶縁工法」を用いる際は、脱気筒の使用が必須です。
FRP防水
FRP防水とは、ガラス繊維と樹脂を用いて硬化させる工法です。高い防水性と耐久性が特徴のFRP防水では、基本的に脱気筒を使用しません。
しかし、場合によっては設置が必要な場合もあります。例えば、古い建物、高湿度の下地の屋根にFRPを用いた防水工事をする場合、水分による膨れを防ぐために、脱気筒を設置することもあるでしょう。
脱気筒の設置方法
一般的な脱気筒の設置方法を解説します。実際の施工については、依頼先の業者にも詳しく確認してみてください。
脱気筒設置位置を決める
脱気筒の設置位置は、防水層の種類や面積によって異なりますが、適切な間隔を守ることが重要です。一般的には、50〜80㎡に1ヶ所の間隔で設置するため、設置場所となる場所の防水シートを2〜3cm四方程度の大きさで切り抜き、穴を開けていきます。その後、電動ドリルを使って固定用のビス穴を削孔します。
設置準備ができたら、脱気筒をプラグ式アンカーなどで取り付けていきます。
脱気筒とシートの隙間を防水シーリング材で埋める
脱気筒のツバに金属下地用のプライマーを塗布したら、脱気筒のツバの外周やビス頭、筒の根元に沿って、丁寧にウレタンシーリング材で塞いでいきます。
メッシュテープで補強する
さらにその上から、2次防水としてメッシュテープと防水シール材を使い、補強していきます。
脱気筒設置に関する疑問
最後に、防水工事や脱気筒の設置に関するよくある疑問について解説します。
設置の費用相場は?
脱気筒の設置にかかる費用は、施工面積や使用する脱気筒の種類によって異なります。まずは、脱気筒の価格相場は以下の通りです。
■ステンレス製・・・10,000〜20,000円
■アルミ合金製・・・5,000〜10,000円
■塩化ビニール製・・・3,000〜5,000円
※いずれも1基あたりの価格相場です
脱気筒の施工費用は、1ヶ所につき5000〜10,000円程度が相場ですが、設置場所が高所・狭小スペースの場合や、防水層の種類、安全の確保に必要な足場設置費用などによっても金額が変動します。
依頼・施工時の注意点は?
脱気筒の種類(素材)や設置箇所に細かな規定はありませんが、脱気筒の機能を適切に発揮するためには、用途や屋上の状態、環境に合わせた対応が必要です。また、建物の種類によって必要になる耐久性や通気性能は異なり、防水工事の工法によっても適切な脱気筒の種類が異なります。
問い合わせ時や見積り取得の際に詳しく業者から聞いてみるようにしてください。
依頼する業者の選び方は?
失敗しない屋上防水工事の実施には、業者選びが重要なポイントになります。防水工事の専門資格や施工実績の有無、安心して任せられる提案が受けられるか、施工後に起こりうる万が一のトラブルなどに対する保証内容をもとに検討してみるとよいでしょう。
まとめ
今回は、マンションなどの陸屋根に施される防水工事に欠かせない「脱気筒」について詳しく解説しました。
防水層下部に水分や水蒸気が溜まると、膨れやシワ、亀裂の原因となり、防水性能が保てなくなる恐れがあります。そのようなトラブルを防ぐため、水分を外に逃がすために脱気筒は重要な役割があります。目的や防水層の種類に合わせて正しく脱気筒を設置しましょう。
ベストリニューアルは、創業以来60年以上にわたり塗装工事を行っております。
ぜひお気軽にお問合せくださいね。